栗原隆『ヘーゲル 生きてゆく力としての弁証法』

栗原隆『ヘーゲル 生きてゆく力としての弁証法(シリーズ・哲学のエッセンス) 』を読みました。
ヘーゲル―生きてゆく力としての弁証法 (シリーズ・哲学のエッセンス)
ヘーゲル―生きてゆく力としての弁証法 (シリーズ・哲学のエッセンス)
ヘーゲルの最重要概念ともいえる弁証法についての説明ですが、思ったよりもしっかりした内容で、ヘーゲルの思想についてあまり詳しくない私などにはかなり参考になりました。
「否定」とか「矛盾」といった言葉を現代論理学の意味では使っていないという一文は、当たり前だけどはっきり書いてくれてたのでひと安心w

それにしてもこのシリーズ哲学のエッセンスは、少ない頁数ながらも焦点を絞って論じているので、良い本が多いと思いますね。プラトンとかクリプキとかデイヴィドソンとか。フッサールも面白い視点でまとめられていてよかったですし。

参考文献とコメント

あと、個人的な覚書として、巻末参考文献に掲載されていた書名をメモ。あとコメントも適当に。

細谷貞夫『若きヘーゲルの研究』
藤田正勝『若きヘーゲル』
・青年期ヘーゲルという問題についてだそうです。

加藤尚武『ヘーゲル哲学の形成と原理』
・「日本のヘーゲル研究を根本的に刷新して、世界的な水準にまで引き上げた記念碑的な研究」とのこと。ガチの必読文献らしいです。
同『哲学の使命――ヘーゲル哲学の精神と世界』
・「ヘーゲル哲学体系を解体、再構築することによって、体系期ヘーゲルの根本問題を解明した論文を収める」とのこと。

寺津國生『哲学の欲求――ヘーゲルの「欲求の哲学」』
佐藤康邦『ヘーゲルと目的論』
久保陽一『ヘーゲル論理学の基底』
高山守『ヘーゲル哲学と無の論理』
・いずれも日本を代表する研究者による野心的な作品らしい。野心的ということなので、必ずしも解釈自体への賛同は少ないのかもしれない。まあ、哲学の分野で解釈に完全に賛同できるようなケースは少ないでしょうからね。そこは仕方がないことです。

山崎純『神と国家――ヘーゲル宗教哲学』
山口誠一『ヘーゲルのギリシア哲学論』
伊坂青司『ヘーゲルとドイツ・ロマン主義』
高柳良治『ヘーゲル 社会理論の射程』
・「ヘーゲル研究のスペシャリストによる多年の研究の集大成であり、間違いのない解釈が示されている」とまで書かれている。この書きぶりを上記の書と比較するに、裏付けのある手堅い研究なのかもしれない。
特に、法学プロパーの人間の興味関心からすると、高柳良治の著作が法の哲学に焦点を絞って論じているようなので、たいへん気になるところ。

熊野純彦『ヘーゲル――<他なるもの>をめぐる思考』
・「日本のヘーゲル研究が今日到達した最良の成果であると言えよう」と非常に高く評価されているみたい。ここまで言われると凄く気になるのでチェックしたい。