『テロルの決算』沢木耕太郎

沢木耕太郎の『テロルの決算』(文春文庫)を読み終わった。日本社会党党首浅沼稲次郎暗殺事件を扱った、ノンフィクションの傑作だ。

実は沢木耕太郎の作品を読むのはこれが初めてだったりする。友人が『深夜特急』をよく読んでいたので名前は知っていたのだが、そもそも紀行小説だとかノンフィクション作品だとかに興味がなかったのでスルーしていた。人に薦められなかったら、おそらく今後も読もうとは思わなかっただろう。

しかし、読んでみると意外にも面白い。浅沼稲次郎と山口二矢、被害者と加害者の人生を再構成することで、背景まで含めて暗殺事件を描き出そうとしており、実際かなりの程度成功していると思う。取材した範囲を超えて対象の内面に踏み込みすぎないよう抑えられた筆致が良い感じ。きちんと取材されているノンフィクションというのも案外悪くないなと思った。