『新・現代歴史学の名著 普遍から多様へ』 読書感想

樺山 紘一編『新・現代歴史学の名著 普遍から多様へ』(中公新書)を読了。

新・現代歴史学の名著―普遍から多様へ (中公新書)
新・現代歴史学の名著―普遍から多様へ (中公新書)

30年前に出た『現代歴史学の名著』の続編という位置づけ。タイトル通り、現代の歴史学を考える上で重要になってくる名著を取り上げ、その内容や影響を解説したブックガイドのようなもの。

前著と重複しないように選別したそうだが、それを踏まえても歴史学の興味関心の移り変わりが一目瞭然だ。

こういう名著の解説本のようなものに拒否反応を起こす人もいるが、それは使い方次第だろう。たとえば、何が読む価値のある古典なのかわからない人にとって、こういうリストはかなり役に立つ。本書は最前線で研究している学者が名著だと考えているものを取り上げているので、素人のリストよりもよほど信頼が置けるだろう。

また、こういう本を読んだだけで古典を読んだ気になるのはたしかに害悪だ。しかし、本書のように執筆者に一定水準の信頼性があるのならば、その解説を読んでおくことは読まないよりもずっとマシだ。

そして私が考える本書最大の売りは、内容の概説だけではなくそれがもたらした影響まで述べている点だ。学問的なインパクトというのは一般の読書人が当該本を読んだだけでは知ることができない事柄であり、とても興味深い。

本書のお陰で、次に読みたい本が多数見つかったし、自分一人ではとても手を出そうと思わなかったであろう書物にであることが出来た。こういう良質のブックガイドは何時の時代も需要があると思う。

【歴史系新書関連記事】
⇒ 『ピラミッドの謎』吉村作治