内田樹『寝ながら学べる構造主義』(文春新書) 読書感想

楽天koboのクーポンがあったので、内田樹『寝ながら学べる構造主義 (文春新書) 』を買って読んでみた。近所の図書館やブックオフには置いてないし、わざわざ新品を買う気も起こらなかったので、電子書籍で安く変えたのは良かったわ。

読んでみた感想としては、想像よりも良い本だということ。もちろん、色々なところで言われているように、これだけで構造主義について十分だと考えてはいけない。しかし、内田樹が考えるところの個々の思想家のエッセンスを豊富な実例を通じてわかりやすく把握することができる。少なくとも構造主義についての見通しはかなり良くなるのではないだろうか。あとはもう少し深い解説書なり入門書を読んでから、個々の思想家の著作を読んでいけば良いと思う。

個人的には、ヘーゲルやマルクス、ニーチェ、フロイトについて西洋思想を貫く自由で自律的な主体なる概念の解体過程として捉えて説明をしていたところに興味を持った。フロイトやラカンのエセ科学的言説がなぜ世間で評価されるのか不思議だったのだが、この文脈でならその重要性が理解できる。ここは素直に感心した。

まあ構造主義に対する主体解体のための思想という理解は、科学的方法論としての構造主義を高く評価するピアジェ『構造主義』あたりの立場からすれば、本質的なものではないのかもしれないが。

ともかく、フランス系の構造主義思想家および彼らに繋がる思想家について、具体例を豊富に用いてシンプルに解説した本書は広くおすすめできる新書だと思う。意欲があれば高校生でも比較的簡単に読めるのではないだろうか。

私も本書を読んでさらに他の本を読みたくなった。今まで嫌厭していたが、光文社古典新訳文庫から出ているニーチェやフロイトの著作も読んでみようかな(とここまで書いてから、大学生時代に購入したちくま学芸文庫のニーチェ全集11『善悪の彼岸 道徳の系譜』やフロイト『自我論集』が書棚の奥に眠っている事を思い出した。まずはこれを読んでみるべきか)。