【要約】鹿島茂『成功する読書日記』(文藝春秋)

更新が途絶えがちになるブログをどうにかするために、読書日記の作成法を求めて図書館で借りて読んでみた。すると思いの外良いことが書いてあった。この方法ならうまくいくかもしれないので、試しにやってみる。

【以下要約】

備忘録代わりにつけはじめた、タイトルや著者名程度の読書日記であっても、やっているうちに必ず「コレクター感情」が湧いてくる。量がたまってくると、読書量が少ないジャンルの本を優先して読んだりするなどの「体系化への志向」が出てくる。すると、ただ読み散らかすだけの読書とは違った喜びが得られる。

また、体系化によって批評眼も養われるなど、実益としても大きい。たとえば同ジャンルのものを沢山読むと、作品間の類似と差異がはっきりと理解できるようになり、各作品の長所やジャンル内の位置づけなどが明瞭になる。

さらに量が増えてくると読書ジャンルも不可避的に広がってくる。すると、ジャンル間の比較のような作業もできるようになり、ひいては「小説」や「文学」一般を論じることができるようになる。

これは文学に対するボトムアップ型のアプローチともいえる。つまり、学校で学ぶような抽象的な文学理論を学んでから個々の作品を読むようなトップダウン型アプローチではなく、具体的な作品から抽象化していくというアプローチ。

量が質に転換するということ。著者の言う「質量転換の法則」。

ただし、これは漫然と読書するだけでは機能せず、「量」を意識した読書をしなければならない。「量」を意識して初めて「質」が意識にのぼる。そして読書日記は、この「量」を意識させることが重要な効果

したがって、読書日記は「量」をつけられる=継続できる程度の情報だけを記録する。最初は日時、タイトル、著者位で良い。「量」がたまってくるともっと書きたくなる。重要なのは後で簡単に調べられるような客観的な情報よりも、その本と出会ったときの情報(遭遇時情報)のようなな主観的なもの。特に金額はあとで振り返った時に役に立つ。

本の内容についても書きたくなったとして、それが「量」の妨げにならないように注意する必要がある。たとえば5段階評価など、すぐにつけられる点数を書いておくなど。その上でさらに理由などを書きたいなら、二、三行でメモすればいい。

著者的には、この段階で感想を書くより、読んだ文章を引用しておく方をおすすめしている。引用する箇所は自分で選べばいい。「引用をすれば、その作者の文体、癖、思想など、ほとんどのものがわかります。」

さらに引用すれば文章の上手い下手がわかるようになる。

引用を続けると、その読書日記がアンソロジーになってる。これは良い勉強法になる。

引用に慣れたら、引用だけでその本のエッセンスがわかるような要約(レジュメ)を作る。正確に理解しないと要約のための的確な引用ができないので、この修業は役に立つ。

これに習熟してから初めて自分の言葉で言い換える、コント・ランデュという作業をやる。この作業は引用中の言葉を使ってはいけないので、語彙の強化や理解力の向上に繋がる。

こうしたレジュメやコント・ランデュ作成の修行を行って理解力を向上させてからじゃないと批評を行うべきではない。正確な理解のないまま批評しても無意味だから。