チェーンメールの問題点とは?危険性と対処法を知るべき

最終更新日:2018/11/23

東日本大震災のときにチェーンメールが大きな問題になりました。それから大きな災害が起こるたびに、不謹慎だったり内容が間違っているチェーンメールが世に出回るという事態が発生しています。

この問題の根が深いのは、社会的なダメージが大きいにもかかわらず、チェーンメールを回している末端構成員にはまったく危険性の自覚がないことです。それどころか善意でやっている者さえ存在します。

この状況は明らかにまずいです。社会にダメージを与えている自覚がないままに行動されるのは迷惑極まりないですし、本人にとっても良いことではありません。そこでチェーンメールの何が問題なのかを改めて整理してみます。

そもそもチェーンメールとは?

まずチェーンメールの定義からはっきりさせましょう。wikipediaには、次のような記述があります。

チェーンメール(英語: chain letter)は、受信者に対して他者への転送を促す手紙(メール)、特に巧妙な文面を用いて受信者に不特定多数への転送を促す手紙(メール)のこと。

かつて「不幸の手紙」や「幸福の手紙」と呼ばれたものが典型的な例である。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB

不幸の手紙はとてもわかり易いですね。「これを受け取った人は、3日後までに3人の人に同じ内容の手紙を送れ。さもないと……」みたいな内容です。小学生なんかがやりそうなやつですね。これを大人になってもやっちゃう人がいるわけです。それを信じてしまう人もいるわけですね。

チェーンメールはこれと同じ類のものです。厄介なのは、一見すると善意に見える文面を使うなどして、「これ、回したほうが良いのではないか?」と受け取り手に思わせるよう誘導していることです。Wikipediaの引用文には「特に巧妙な文面」という文言が入っていましたけど、まさにこのことを指しています。

普通の判断力を持った大人なら、不幸の手紙が回ってきてもスルーすることでしょう。しかしながら、たとえば「被災地にこれこれの物資が足りていないようだ」という文面を見ると、「これをみんなに見せることは正しいことだろう」という正義感からメールを出してしまう人が非常に多い。言葉巧みに相手の善意を利用するなどして受取人の行動を操り、手紙を出すよう仕向けているわけです。

チェーンメールの危険性とは?

ではチェーンメールの何が問題なのでしょうか?

これは大きく分けると2つの問題があります。

  • 誤情報による社会的混乱
  • メール送付自体が引き起こすネットワークへの負荷

一つ一つ解説していきましょう。

誤情報による社会的混乱

正義感から行動を起こした人には残念ですが、チェーンメールで流れてくるような情報は嘘・誤情報の類がほとんどです。つまり、善意から行動したのであっても、実際は誤解を撒き散らしているだけの迷惑な人になっています。

こう書くと、「他愛もない嘘じゃないか。善意から行動したのにそれを迷惑を言う方が失礼だ」などと考える人がいるかも知れません。

しかし「他愛もない嘘」とは限らないのがチェーンメールの厄介なところです。チェーンメールによって実害が出るケースはかなりあります。

たとえば、「銀行が潰れる」という誤情報に踊らされて、預金者が現金を引き出してしまい銀行の業務に支障が出ることがあります。実際に2003年に佐賀銀行でこの事件が起こりました。とんでもない話です。取り付け騒ぎによって銀行が潰れた場合にどれほどの社会経済的影響が出るかを考えてみてください。

銀行が潰れるというほどの被害がなくとも、業務に支障が出たことでどれだけの金銭的損失が発生しているか、ということです。これは業務規模が大きければ大きいほど損失額も大きくなります。かといって、規模が小さい個人商店などだと、そもそも誤情報1つで倒産に追い込まれる可能性は高くなります。

なお、佐賀銀行の事件では犯人の女性が逮捕されています。被害額を考えたら当然そうなることでしょう。刑事事件としてだけでなく、民事裁判を提起される可能性もあります。そうなったら損害賠償額がいくらになるか、ちょっと考えてみただけでも恐ろしいです。

災害被災地への支援物資問題にしてもそうです。「被災地に足りないものがある」というデマによって過剰に同じものが寄付され、まったく使いみちがないままにリソースだけを奪っていく、という事態が毎回発生しています。チェーンメールを転載した人の浅はかで愚かな善意が被災者を苦しめるわけです。

メール送付自体が引き起こすネットワークへの負荷

拡散されている情報がたとえ誤情報でなくても問題があります。

そもそもメール送付自体がネットワークへ負荷をかける事になります。

子供でもわかる理屈ですが、チェーンメールはねずみ算式に増えていきます。すると大量の人間がメールを送受信することになるので、ネットワークへ負荷がかかります。

平時でも大きな問題ですが、これが致命的になるのは災害時です。ただでさえ災害時にはアクセスが殺到して安否確認が難しくなります。そこにチェーンメールによって大規模な負荷をかけられると、ネットワークがパンクしてしまいます。すると、必要な人が本当に必要な情報を得ることができなくなります。

たとえば、救助を求める人の電話が、緊急救命機関に繋がらなくなること。これが本当に起こりえます。

チェーンメールへの対処法は?

ではどうすればこの問題に対処できるようになるのでしょうか?

対策は非常に簡単です。チェーンメールを受け取った人はすべて無視してください。絶対に転送しないでください。これだけです。これは「Netiquette Guidelines」でも推奨されている、正式な対処法となります。

不幸の手紙に悩む大人がいたら、誰だって「そんなの無視しろよ」と思うことでしょう。その通り、それが一番いい対策です。それと同じことなんですね。

それで終わりのはずなのですが、世の中には不思議な人達がいます。「これはいい内容だから、転送したほうが世の中のためなのでは?」と考える人たちです。

断言しますが、完全に間違いです。転送は世の中の迷惑にしかなりません

そもそも内容が正しい可能性が非常に低い。デマを拡散されて喜ぶのは、悪意がある人だけです。敵国とか、日本を混乱させることにメリットが有る人だけですね。

そして本当にその情報が重要だと思うのなら、しかるべき機関に通報するなりして、SOSを求める人たちの邪魔にならないようにするべきです。わざわざネットワークへの負荷というリスクをかけないでください(通報自体もリソースの無駄なので、何も行動しないのが一番世の中のためになりますがね)。

善意の行動だからといって、すべてが許容されるわけではないということです。

大事なのは「被災者のために【とにかく自分が】行動すること」ではなく、「被災者を救助すること、救助可能性を上げること」です。

アホな情報に踊らされず、冷静に行動することが直接被災者の人命を救うことにつながるのだと認識してください。