日記

博士課程の院生の読書量

博士課程の院生の読書量が減っているという噂を聞いていたんだけど、指導教授以外の研究者から「彼はできるね」と言われている人の読書量はやっぱり相当なものだった。

まずフットワークの軽さが違う。

普通の人なら入門書だとか概説テキストで満足してしまいそうなところ、きちんと専門書や論文にまで手を出す。そして読み込んでいく。それが可能なほどに読むのが速い。

かといって、適当に読み散らかしているわけではなく、必要な箇所はメモを取ったりノートにまとめたりしながら着実に文献を読み勧めていく。

読みの深さも違う。

高度な精読の技術をきちんと自分のものにしているので、議論してみると一つ一つの意見が鋭い。

これはもちろん専門分野にもよるのだろうけど、人文科学や社会科学においては、やっぱり読書量って基礎的な素養に直結すると思う。専門分野の論文とか外国語文献も含めると、やはり並の読書量じゃ話にならないと感じる。

しかし、それでもアメリカ等の世界でもトップレベルの大学で課される量と比較すると、かなり少ないということだ。実際、私が話を聞いた院生は「まだまだ読書量が足りない」と言っていた。本人が言うくらいなのだから、そのとおりなのだろう。その彼にすら追いつけていない私など、ミジンコのようなものか。

巷間、「本を読むだけじゃダメだ」ということがまことしやかに言われているが、それを言っている人は大して本を読んでいないことが多いので、あまり信用できない。

もちろんそういう発言をする人の中には学者として相当な実績を持っている人もいる。しかしよくよく話を聞いてみると、「本を大量に読んでいるのは、そもそも研究者としての大前提」と考えている人が多い。

つまり、「本を読むだけじゃダメだ」けど、そもそも読んでない奴は学者として論外というわけだ。

そりゃあ、研究の基礎となる知識がなければ、いくら地頭がよくても有益な研究はできないよなと納得した。

(そもそも「地頭」なんてことを言い出すやつは、たいてい負け犬の遠吠えだが。)

やはり研究者を目指すなら、正しい読書技術を身に着けて大量に読書をこなしていく必要がありそうだ。

こちらの本も参考になりそう。

>> 『本を読む本』読書感想

 

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