長尾龍一『法哲学入門』を再読していたのだが、やはり長尾龍一の基本的なスタンスが合わないなと思う。どうにも長尾龍一とは、哲学というものに対する理解が違いすぎるなという印象。
そもそもあらゆる哲学を「無知の知」というスローガンに集約させることが、果たして適当なのかという疑問がある。なぜか彼はソクラテスを特権化するわけだが、個人的にはそれが不思議でならない。
「無知の知」については、別の記事でも書いた。
【無知の知について】
この記事に書いたような理解を前提とするなら、やはり長尾龍一の論じ方には問題があるように私には思われるんだよなあ。
あと、様々なことは疑って見る割に、「科学技術の発展」については直感的に悪だと考えているフシがある。これはこの年代の社会系の研究者に通底する思考なんですかね? やたらこういう人が多い気がする。しかし、現実への否定的評価についての是非は脇に置くとしても、現実と思想・理論とのつながりを論証してからじゃないと、歴史的な展開を理由として理論を否定することは出来ないと思うんだけどね。そしてこの点は自明でもなければ、軽視していいものでもないと思うんだが。
こんな事言っても詮なきことかもしれませんが、私としてはかなり気になるんですよ、こういうの。
まあ、それでも最初に読んだ時よりは面白く読めてるかな。あの当時はもっととんがってたから、完全にお金をドブに捨てたなと思ったくらいだしw