『無貌伝 双児の子ら』望月守宮

望月守宮の『無貌伝 双児の子ら』を読み終えた。

無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)
無貌伝 ~双児の子ら~ (講談社ノベルス)

講談社ノベルスから2009年1月に出版された、第40回メフィスト賞受賞作。

本作はシリーズとして続刊が出ており、2012年10月には5巻目となる「無貌伝 探偵の証」が発売される予定。ちなみに本書は発売から3年経っているけどまだ文庫化されていない。

メフィスト賞って案外文庫にならなかったりするので、本作もこのまま文庫化されずに消えて行く可能性もあるかもしれない。
(石崎幸二とか氷川透とか、文庫化希望。。。)

「ヒトデナシ」と呼ばれる怪異が存在する、昭和の日本に似た、けれどやはり異なる世界が舞台となった伝奇ミステリーになるのかな。こういう作品は1巻だけで完結させるのが難しいだろうし、現にシリーズとなっているわけだけど、よくメフィスト賞を受賞させたなー。もちろん、それが悪いというわけではなく、実際に面白く読めたわけだから審査員の判断は正しかったと思うけどね。

要素レベルで見ると、心の折れた名探偵、荒んだ少年助手、旧家、双子、謎めいた美少女、禁断の恋、妖しい未亡人などなど、魅力的なガジェットが詰め込まれており、こういうものに反応する人種にはおすすめできるかもしれない。

ただ、伝奇物といっても不気味さとか目眩感みたいなものは感じられなかったので、人によっては不満に思うかも。まあ、物語としてはうまくまとまっているし面白かったので、完全に個人的な好みの問題かも(^_^;)

ともかく、伝奇者にしてはかなり読みやすいと思うので、割と人に薦めやすい良い作品です。

 

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