『青きドナウの乱痴気』感想と復刊決定

青きドナウの乱痴気 ウィーン1848年』は、良知力の遺作となった一冊。ガンで闘病中の著者が綴った本書のあとがきは、他に類を見ない迫力がある。

良知力によるウィーンの1848年革命についての書籍には他に『向こう岸からの世界史』もあるが、マルクス主義などの思想史的な研究の色が濃い同書に比べて、民衆の生活に寄り添うかのような記述が多い本書の方がより読みやすいだろう(もっとも、1848年革命について大雑把にでも知っていないと、読みにくさを感じるだろうが)。

平凡社ライブラリーに収録されているものの、現時点では品切れ状態が続いている。名著との誉れ高い一冊だけに、平凡社はぜひとも復刊してほしいものだ。

青きドナウの乱痴気―ウィーン1848年 (平凡社ライブラリー)
青きドナウの乱痴気―ウィーン1848年 (平凡社ライブラリー)

6/18追記

なんと、平凡社ライブラリーからちゃんと復刊されるそうな。
これは本当に嬉しいニュース。アマゾンだとオンデマンド版が手に入るみたいだったけど、そんな劣化コピーみたいなものじゃなく、ちゃんとした書籍で入手したかったもので。

まあ、私は既に読んでいるんだけど、手元において置けるというのは結構大きいような気がする。これで一時期のようなアホみたいな高騰はなくなるだろうね。

しかし、社会史系の本を復刊してくれるなら、ナタリー・ゼーモン デーヴィスの「帰ってきたマルタン・ゲール 16世紀フランスのにせ亭主騒動」もついでに復刊してほしい。どう考えても必読書だと思うんだけど。

平凡社ライブラリーは良書が多数収録されていて、読書家としてはとても重宝するレーベルなのだが、品切れが多いのは玉に瑕なんだよね。

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