講談社学術文庫の新刊を眺めていたら、いくつかの本について専門とは全く関係ないけど読みたくて仕方がなくなってきた。その内の一つがこちら。
・橋本毅彦『「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》』(講談社学術文庫)
この本はどうやら以前講談社選書メチエから出ていた以下の本の改訂版らしい。
・橋本毅彦『<標準>の哲学 スタンダード・テクノロジーの三〇〇年』講談社選書メチエ
文庫化にあたって第六章とエピローグを大幅に改稿し、第七章を追加したとのこと。ブックオフなどで間違って買わないように注意しないといけない。
元々この本が気になった背景には、名前だけはやたらと聞く「標準化」という言葉。どうやらこれがテクノロジーの進展に果たした影響は非常に大きいらしい、ということは耳にしていたが、では標準化がどのようにして影響を与えたのか、そこにはどんな思想があるのか、どの程度生産性に影響しているのか、などについては皆目見当がつかなかった。
本書はそのあたりの知識の欠如を補ってくれるようなので、ぜひ読んでおこうかなと。また、著者の橋本毅彦氏はジョンズ・ホプキンス大学の博士号を持った科学史家で東京大学総合文化研究科教授ということなので、記述が信頼できそうだなと思ったのも、購入を検討している理由の一つ。
ちなみに、著者の業績などについては、勤務先である東京大学科学史・科学哲学研究室の教員リストのページがwikipediaよりも詳細で充実している。
追記
どうやらこの本の著者である橋本毅彦氏は、この分野の第一人者のようだ。
現在Amazonで「標準革命」という単語で検索してみると、該当する著作のうち上位7冊が橋本毅彦氏の著作、あるいは共著となっている。中には入門書のような平易なものも含まれているので、最初に読むならそちらからのほうがいいかもしれない。
なお、「標準化」で検索すると、『標準化教本―世界をつなげる標準化の知識』という本がヒットする。こちらは思想史や科学史ではなく、現実の標準化に関する著作のようだ。他に業務標準化に関する本や品質管理に関する本、さらには無印良品を扱ったビジネス書なんてものもヒットする。
標準化一つとっても奥が深いなぁ。