久しぶりにAmazonで新刊書をチェックしてみた。
色々と忙しかったので、Amazonのチェックをするのは4月以来だから約3ヶ月ぶりだと思う。ざっと見ただけだけど、かなり購買意欲を掻き立てられる本が出ていた。全部を挙げるのは面倒だし、哲学系の本は速攻でウィッシュリストに入れておいたので、この記事でメモしておくのは他の分野の本だけにしておく。
歴史から理論を創造する方法
まずは社会学関係の本から。
・保城 広至『歴史から理論を創造する方法: 社会科学と歴史学を統合する』勁草書房、2015年3月
本書は歴史学と社会科学を調停するかのような内容の本とのこと。
まず社会科学者が理論に合致した歴史的二次資料だけを恣意的にピックアップする傾向があため、歴史学者はこれをよく批判してきた。逆に社会科学者は、歴史学者の研究を理論を引き出すこともなく狭い範囲の物事に拘泥しているだけだとみなしてきた。
こういう対立があることを前提として、本書はその対立を調停するような研究手法を提示しているとのこと。
私は社会科学系の人間であり、社会科学において歴史をどのように利用すべきかについては常々感心を持ってきた。そのため本書のような方法論に関する研究所は私の興味関心にドンピシャだ。
私はどちらかと言うと、社会科学者の無造作な歴史の扱い方に不満を持ってきた人間なので、歴史学者の側に肩入れしたい気持ちが強い。特に、社会科学の歴史において有名な論文が、いかに偏った不正確な歴史資料の利用を行ってきたのかを考えれば、歴史学者の言い分を認めない訳にはいかない。
せっかくの画期的な視点も、証拠資料が恣意的にピックアップされた二次資料であっては、説得力に欠けるし、下手をすればまったくのデタラメでしかないかもしれない。ウェーバーのプロ倫なんてそのために現在も批判されているわけだし。
ついでにいえば、デタラメを疑うことなく信じ込んで、いまだにプロ倫の結論だけを拡散している人々がたくさん存在している。社会学者の歴史に対する無造作な扱い方によって甚大な社会的損害が生じていることを示すいい例だ。
とはいえ、歴史学とは異なる社会科学独自の存在意義を考えれば、歴史を参照しつつも理論を作らずにはいられないわけで。
だからこそ、こういう歴史を扱う研究方法論に関する書籍が出版されたことは喜ばしいことだと思う。しかも初学者向けに丁寧に書かれているそうなので、今後は本書が歴史を扱う社会科学者のスタンダードになるかもしれない。
近いうちに購入予定。
勁草書房
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社会を説明する―批判的実在論による社会科学論
・バース ダナーマーク他『社会を説明する―批判的実在論による社会科学論』佐藤 春吉 (翻訳) 、ナカニシヤ出版、2015年3月
スウェーデンの社会学者の共著なのかな。Amazonの商品説明を読んだ限りでは、批判的実在論を社会研究に使うための手引書らしい。
私は批判的実在論について門外漢であり、まったく予備知識がない。しかに何か面白そうだという印象を受けたので、購入検討中。
できれば書店で実物を手にとって眺めてみたいけど、田舎にはこういう専門書が入荷するような書店は存在しないのです(´・ω・`)
ナカニシヤ出版
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