先日ふと思い立ったので、ウィトゲンシュタインの著作や解説書以外の本、伝記や評伝をまとめてみることにしました。
しかしいざ調べ始めると、さすがに人気のある哲学者だけあって、タイトルに「ウィトゲンシュタイン」と入っているものだけでも大量に出てきます。ちょっと検索かけただけでもこれですから、文献目録みたいなものになるとどれだけ大量のリストになるのか想像もつきません。
一気にやる気がなくりましたが、抜け漏れがあることを前提に備忘録がわりにメモしておきます。素人が適当に気になった本をまとめただけの糞記事です。
なお、本人の著作なんかは面倒なのでスルーします。
Contents
- 1 ノーマン・マルコム『ウィトゲンシュタイン―天才哲学者の思い出』
- 2 スティーヴン・トゥールミン、アラン・S. ジャニク『ウィトゲンシュタインのウィーン』
- 3 デヴィッド・エドモンズ、ジョン・エーディナウ『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い一〇分間の大激論の謎』
- 4 ブライアン・マクギネス『ウィトゲンシュタイン評伝 新装版』
- 5 A・J・エイヤー『ウィトゲンシュタイン』
- 6 レイ・モンク『ウィトゲンシュタイン 1、2』
- 7 アレグザンダー・ウォー『ウィトゲンシュタイン家の人びと 闘う家族』
- 8 ウィリアム・W・バートリー『ウィトゲンシュタインと同性愛』
- 9 クリスティアンヌ・ショヴィレ『ウィトゲンシュタイン その生涯と思索』
ノーマン・マルコム『ウィトゲンシュタイン―天才哲学者の思い出』
平凡社
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全体としては200ページちょっとなので、すぐに読み切れる分量です。入手しやすさと内容の手堅さから考えて、最初に読むのにちょうどいいかもしれません。たしか私が初めて読んだウィトゲンシュタインの評伝もこれだった気がします。
スティーヴン・トゥールミン、アラン・S. ジャニク『ウィトゲンシュタインのウィーン』
平凡社ライブラリーつながりでこれ。トゥールミンは、トゥールミンモデルのあの人です。
しばらく品切れしていたものが、2010年前後くらいに復刊されて入手しやすくなった記憶があります。記憶違いかもしれませんw
ウィーンの文化史や思想史の文脈でウィトゲンシュタインを捉え直すという内容です。そういう意味では単純な評伝ではないですね。世紀末ウィーンにロマンを感じる人間にはたまりません。
デヴィッド・エドモンズ、ジョン・エーディナウ『ポパーとウィトゲンシュタインとのあいだで交わされた世上名高い一〇分間の大激論の謎』
ある意味有名なエピソードである、ポパーとウィトゲンシュタインが顔を合わせたときの出来事を描いた本。といっても、大半はそのエピソードまでのバックボーンを描いているわけですが。
ちなみに、ジャーナリストが書いただけあって、あくまでもゴシップ的な内容が主です。哲学に関する深みのある分析とかはありません。とはいえ面白いことはたしか。
それにしても、こういうのを読むと、本当にウィトゲンシュタインは一般人が想像する気難しい天才のイメージそのものなんだなと言う気がします。そういうところが人気の秘密なのでしょうね。本書の著者もウィトゲンシュタイン贔屓な感じが出ています。まあ、私は逆にポパーに好感をもってしまいましたが。
ちなみに、2016年になってちくま学芸文庫に収録されたので、入手しやすくなりました。
ブライアン・マクギネス『ウィトゲンシュタイン評伝 新装版』
文庫サイズで入手しやすい本ばかり紹介してきましたが、こちらは選書ウニベルシタスから。定評ある評伝。というか、2016年に新装版が出ていたのですね。
副題に「若き日のルートヴィヒ 1889-1921」とあるように、前半生のみを扱っていて晩年については書かれていません。まあ、多くの人は論考に至るまでの半生に興味があるのでしょうから、これはこれでアリなのかも。
A・J・エイヤー『ウィトゲンシュタイン』
エイヤーによるウィトゲンシュタイン論ですね。みすず書房から出ています。
これは評伝と言うよりも解説なのではないかという気もしますが、私の中でなぜか解説書という感じがしなかったので。別にエイヤーに対して含むものがあるわけではないので、あしからず。
レイ・モンク『ウィトゲンシュタイン 1、2』
こちらもみすず書房から出ている2巻本の評伝です。レイ・モンクのこれは意外と賛否両論ある印象ですが、参照している資料が膨大で個人的にはとても面白いです。てか、評伝としては一番良い気がします。
ただし、現在は品切れ状態になっているのが残念。図書館で借りて読むか、古本屋を探すか。あるいは復刊リクエストを送ってみるのがいいかも。
アレグザンダー・ウォー『ウィトゲンシュタイン家の人びと 闘う家族』
哲学者のルートウィヒ・ウィトゲンシュタインではなく、その家族に焦点を当てた本です。中央公論新社から出ています。
8人兄弟はそれぞれ個性が強いというか、凄まじい家庭環境だなといった印象。こんな家庭で育ったら、そらああなるなという感想を持ちました。
ウィリアム・W・バートリー『ウィトゲンシュタインと同性愛』
出版当時スキャンダルになった本。1990年に邦訳が未来社から出ていましたが、現在は品切れになっている様子。まあ、同性愛は今でもスキャンダラスに扱われるテーマですからね。
とはいえ、ウィトゲンシュタインの評伝としてはかなり面白いです。哲学よりも彼の人間性に興味がある人なんかは、本書をぜひ読んでみるべきですね。こちらも図書館あたりで借りるか、古書店か、復刊リクエストを……
クリスティアンヌ・ショヴィレ『ウィトゲンシュタイン その生涯と思索』
1994年に国文社から出版された本。実はこの記事を書いてて初めて知った。不勉強ですね。フランスの方が書いてるのは珍しい気がする。
これも伝記や評伝というより、人生と哲学を併置して語った解説書っぽいですが、備忘録がわりにメモ。
この他にも、思想と人生を併置させる系の解説書なんかも多い印象。ついでに、『ウィトゲンシュタインと〇〇(人名)』みたいなタイトルの本もやたらと出てくる。どんだけ人気なのかと。
リストアップするだけでもあほみたいに時間がかかってしまうので、まあ、気力が湧いてきたら追記するかもしれません。
この記事も書いてて疲れた記憶があります。